公開:2024.03.20
全館空調で後悔しない!メリット・デメリットや上手な使い方を解説
空気を循環させて住宅全体の空調を管理するシステム「全館空調」。
暮らしやすいイメージもあり、全館空調を検討している方も多いでしょう。
全館空調はリビングや寝室だけでなく、廊下やトイレなども空調の管理が行き届くことから住まいを快適に保ちやすく、人気を集めています。
しかし、憧れだけで全館空調を採用すると、「想像と違って暮らしにくい」とミスマッチを感じる可能性もあるので注意が必要です。
そこでこの記事では、全館空調のメリット・デメリットを解説します。
新築で全館空調を採用する際の注意点なども紹介するので、家づくりの参考にしてください。
目次
全館空調とは
「全館空調」とは、個々の部屋にエアコンを設置するのではなく、住宅全体(全館)の空気を循環させて空調をトータルで管理するシステムのことです。
リビングや居室はもちろん、トイレや洗面所など、通常エアコンを取り付けないようなスペースも含めて住まい全体を快適に保てます。
また、冷暖房だけではなく、換気・空気清浄の機能が搭載されている場合もあり、24時間いつでも気持ちの良い空間で生活できるのが特徴です。
全館空調の種類は、下表の通りとなります。
種類 | 特徴 |
天井吹き出し型 | 専用エアコンを天井などに設置して、ダクトを使って各部屋に空気を循環させる |
床下冷暖房型 | 基礎部分を断熱し、床下からの輻射熱(ふくしゃねつ)を換気口のガラリから送風する |
壁掛けエアコン型 | 1台の壁かけエアコンの冷暖風をダクトで循環させる |
無風型(F-CON) | 冷温水が流れるパネルの輻射熱によって住宅全体を冷暖する |
「全館空調は高価」というイメージもありましたが、現在ではコストが下がりつつあり、以前よりも導入しやすいでしょう。
全館空調のメリット3選
全館空調のメリットは、以下の3つです。
- 家全体を快適な温度に保てる
- 室内の空気をきれいに保てる
- インテリア・エクステリアの邪魔になりづらい
1つでもメリットだと感じたら、全館空調を検討してみましょう。
メリット①:家全体を快適な温度に保てる
全館空調は隅々まで冷暖房が効いており、家全体を快適な温度に保てるのが魅力です。
冬場にトイレや脱衣所が寒かったり、真夏に2階だけ気温が上昇したりするのを防げるので、住宅内の気温差によるストレスが軽減されます。
室内の温度が均一に近い状態でキープできることから、吹き抜けやリビング階段など温度差が生じやすい間取りの場合にもおすすめです。
また、熱中症やヒートショックなど健康面のリスクを減らせるため、小さいお子さまや高齢者が住むケースでも、安心して暮らせるでしょう。
吹き抜けを取り入れたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】吹き抜けリビングでおしゃれな間取りを目指そう!メリット・デメリットや施工事例を解説
メリット②:室内の空気をきれいに保てる
冷暖房に加えて換気や空気清浄の機能を搭載している全館空調も多く、常に室内の空気をきれいに保てるのも嬉しいポイントです。
真夏や真冬など窓を開けて換気するのが難しい時期でも、いつも新鮮な空気の中で生活できます。
また、花粉やPM2.5のフィルター付きのタイプを選べば、アレルギーを持つ方でも悩みを減らせるでしょう。
フィルターや性能はメーカーによって異なるので、ライフスタイルや健康面の課題を考慮して適切な全館空調を取り入れてください。
メリット③:インテリア・エクステリアの邪魔になりづらい
一般的なエアコンのような機器の露出を抑えられるので、インテリア・エクステリアの邪魔になりづらいのも魅力です。
すっきりした空間を実現でき、吹き抜けなどを採用して開放感のある空間を目指す場合にも役立ちます。
限られたスペースに無理やり設置して圧迫感を感じる心配もなく、本来の内装デザインを楽しむことが可能です。
また、複数のエアコンを掃除する必要がないため、家事の時短にもつながるでしょう。
やめたほうがいいの?全館空調のデメリット3選
全館空調のデメリットは、以下の3つです。
- 部屋ごとの温度調整は難しい
- 故障した際のリスクが大きい
- 一般的な冷暖房機器よりもコストがかかりがち
デメリットを踏まえておくと、後悔を回避できるでしょう。
デメリット①:部屋ごとの温度調整は難しい
全館空調は住まい全体を均一な温度に近づけられますが、部屋ごとの温度調整は難しいのがネックです。
人によって快適な温度は異なり、家族全員が同じ温度を快適に感じるとは限らないことを念頭に置きましょう。
例えば、夏場に低い温度に設定すると寒がりな人にはストレスになり、控えめな温度設定にすると暑がる人が出る可能性があります。
また、全館空調の住宅は暖房を使うと乾燥しやすく、暮らしづらさを感じるケースもあるでしょう。
デメリット②:故障した際のリスクが大きい
全館空調が止まってしまうと、室内の快適性が大幅に低下するため注意が必要です。
冷暖房はもちろん、換気や空気清浄などの機能も止まってしまうことから、空気がよどむ原因となります。
万が一のトラブルで全館空調が止まった場合、真冬や真夏などは心身ともに相当なストレスを感じてしまいかねません。
さらに、従来のエアコンのように短時間で入れ替えができないため、気をつけてください。
デメリット③:一般的な冷暖房機器よりもコストがかかりがち
全館空調は一般的な冷暖房機器よりもコストがかかりがちで、導入費用や光熱費が高額になって後悔する場合があります。
メーカーや種類によっても費用は異なりますが、全館空調にかかる費用の相場は下表の通りです。
項目 | 相場 |
導入コスト | 150〜300万円 |
毎月の電気代 | 1万円前後 |
メンテナンス費用 | 1〜3万円 |
電気代の月額費用は全館空調のほうが一般的な冷暖房機器よりも安くなる可能性がありますが、トータルコストは全館空調のほうが高くなります。
また、全館空調の寿命は10〜20年とされており、入れ替え費用も発生するので注意してください。
新築で全館空調を採用する際の注意点
新築で全館空調を採用する際の注意点は、以下の通りです。
- メーカーや種類次第で性能やコストが変わる
- 工務店によっては対応できないメーカーがある
- メンテナンスを踏まえて工務店を選ぶ必要がある
- 断熱性や気密性の高い住宅が前提になる
メーカーや種類次第で性能やコストが変わるので、比較検討しながらライフスタイルに合う最適なタイプを選択してください。
工務店によっては対応できないメーカー・商品があり、希望があれば早期のうちに相談しておくとトラブルを回避できるでしょう。
長く快適に利用するにはメンテナンスが欠かせないため、アフターフォローの充実した会社を選ぶことも重要です。
冷暖房効率の良い高気密・高断熱な住宅が前提になり、施工実績・ノウハウ・補助金の情報を豊富に持っている工務店に依頼しましょう。
断熱性・気密性の高い家の特徴を知りたい方は、断熱性・気密性のページをご覧ください。
全館空調の上手な使い方
全館空調の上手な使い方は、以下の通りです。
- 設定温度は季節ごとに一定に保つ
- 頻繁にオンオフさせない
- 気温が安定している時期は換気のみの運転も検討する
- 太陽光発電や蓄電池も併用する
一気に温度を上下させたり、何度も電源を入れたりすると電気代が上がるので、設定温度は季節ごとに一定に保ちつつ、頻繁にオンオフさせないようにしましょう。
節電するには、長時間稼働を前提とした省エネ運転を心がけることが大切です。
冷暖房を必要としない気温が安定している時期は、換気のみでの利用も検討してください。
また、太陽光発電や蓄電池も併用すると電気代の節約につながり、停電があっても電気を利用できるので便利です。
太陽光発電について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】太陽光パネルと蓄電池を併用するメリット・デメリット・注意点を解説
全館空調を採用した施工事例
この家では空調室のエアコン1台で室温をコントロールする全館空調を採用しており、注目ポイントは以下の2つです。
- 花粉やPM2.5などを除去するフィルターを搭載している
- 冷暖房機器は人目に触れないので内装を最大限に活かせる
全館空調には花粉やPM2.5などを除去する高性能なフィルターを搭載しており、アレルギー反応が軽減されるため日々のストレスを減らせます。
床や天井にエアコンが設置されているので冷暖房機器が人目に触れず、ホワイトを基調とした内装をよりシンプルでおしゃれに見せられるのもメリットです。
アサヒグローバルホームでは、全館空調をはじめとして、お客さまのニーズやこだわりを反映した住宅を多数手がけています。
施工事例についてもっと知りたい方は、施工事例ページをご覧ください。
まとめ:全館空調はメリット・デメリットを踏まえて慎重に判断しよう
「全館空調」とは、空気を循環させて住宅全体の空調をコントロールするシステムのことです。
冷暖房に加えて換気・空気清浄の機能が搭載されているケースも多く、換気の難しい時期でも適温かつきれいな空気の中で生活できます。
全館空調には家全体を快適に保てるメリットがある一方で、部屋ごとの温度調整は難しいなどのデメリットもあるので慎重に判断しましょう。
アサヒグローバルホームでは全館空調を含めて、さまざまな住宅の施工実績とノウハウを持っています。物件を実際に確認してみたい方は、来場予約をご覧ください。
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