公開:2023.11.22
住宅ローン金利は変動・固定のどっちがいい?選び方のポイントを解説
住宅ローンを借りる際に最も悩むことの1つが、「金利の種別」ではないでしょうか。変動金利と固定金利のどちらで借りたほうがよいのか、悩むことなく決められる人のほうが少ない傾向です。
そこでこの記事では、住宅ローン金利の選び方のポイントをわかりやすくまとめました。
住宅ローンを借りた人が選んだ金利種別の割合も紹介しているので、そもそも金利の違いが分からない人はもちろん、マイホームの購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンの金利は大きく3種類に分けられる
そもそも、住宅ローンの金利は大きく以下の3つに分類できます。
- 変動型
- 固定期間選択型
- 全期間固定型
種類①:変動型
変動型は、金融機関が独自に定める金利に連動して、半年ごとに金利が見直されます。
金利が下がれば月々のローン返済額は減るメリットがある一方、金利が上がれば毎月の返済額は上昇するのがデメリットです。
変動金利の返済額に関しては、金融機関によって以下のルールが適用されることもあります。
- 5年ごとの返済額見直し方式(5年ルール):半年ごとの金利見直しで金利が変動しても、5年間は月々の返済額を一定に保つルール
- 125%上限方式:金利が上がって月々の返済額が上昇しても、再計算された返済額は従来の125%を上限とするルール
これらのルールは、返済方法が「元利均等返済方式(返済額が一定)」の場合に適用されます。一方、「元金均等返済方式(返済する元金のみ一定)」の場合は、半年ごとの見直しによって金利が変動すれば、その変動に合わせて返済額も上下します。
「変動型」といっても金融機関によって返済方式が異なるので、詳しく確認しておきましょう。
種類②:固定期間選択型
固定期間選択型は、先ほどの変動型と後述する全期間固定型のハイブリッドタイプです。
具体的には、住宅ローンを借りてから一定期間は固定金利が採用され、一定期間を過ぎると変動金利に切り替わるというもの。一般的には、「5年固定」「10年固定」といった住宅ローンが用意されています。
特徴としては、固定期間が短いほど低金利で借りられる点です。
「マイホーム購入からしばらくは養育費がかかるから、住宅ローンの支払いを安定させたい」などの場合には、固定期間選択型を選んでもよいでしょう。
種類③:全期間固定型
全期間固定型は、その名の通り、住宅ローンを完済するまでの全期間で金利が固定されるタイプです。
返済額は借入時から完済時まで一定になるため、計画的に安定した返済ができるところは、全期間固定型の大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、借入時の金利が適用され続け、変動金利よりも高金利であることが一般的なため、最終的な返済額は多くなってしまいます。
全期間固定型の代表的な住宅ローンには、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」があります。
住宅ローンを借りた人が選んだ金利種別の割合
住宅ローンの金利に関してどのような種類があるか理解できたところで、実際にはどれくらいの割合でそれぞれの方式を選んでいるか気になる人も多いのではないでしょうか。
住宅金融支援機構が2023年に行った調査によると、利用した金利タイプの割合は以下の通りでした。
- 変動型:72.3%
- 固定期間選択型:18.3%
- 全期間固定型:9.3%
アンケート調査の回答者は1,500名で、その約7割が変動型を利用しているようです。なお、2022年4月の調査では73.9%、2021年4月では68.1%が変動型を利用するという結果でした。
引用元:住宅金融支援機構|2023年住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用調査(2023年4月調査)】
過去の住宅ローン金利の推移
2019年から2023年9月における、各金利タイプの最低金利をまとめました。
期間 | 変動型 (主要銀行|ネット銀行) |
固定期間選択型(10年固定) (主要銀行|ネット銀行) |
全期間固定型 (主要銀行|ネット銀行) |
2019年1月 | 0.47%|0.447% | 0.645%|0.59% | 1.13%|0.88% |
2020年1月 | 0.47%|0.399% | 0.69%|0.57% | 1.07%|0.82% |
2021年1月 | 0.47%|0.38% | 0.595%|0.499% | 1.03%|0.84% |
2022年1月 | 0.375%|0.289% | 0.645%|0.465% | 1.05%|0.85% |
2023年1月 | 0.375%|0.289% | 1.05%|0.945% | 1.395%|1.23% |
2023年9月 | 0.345%|0.219% | 1.015%|0.88% | 1.445%|1.35% |
過去4年間の金利推移は上記のとおりで、変動金利は低金利化が加速している傾向です。
一方、固定金利は10年もの国債の金利などに代表される長期金利が上昇しているため、2023年に入ってから上昇傾向にあります。
今後の住宅ローン金利はどうなる?
住宅ローン金利がどのようになるか、未来のことを断定できませんが、長期金利と連動する固定型に関しては、今後、さらなる金利上昇があるかもしれません。
短期金利に連動する変動型は、長期金利の上昇とは関連性がないとされるので、低金利の状態が続く見込みのようです。
ただし、政府の金融政策や世界的な物価上昇などによる影響がいつ発生するかはわからないため、住宅ローンを組む予定の人は、継続的な情報収集が欠かせないでしょう。
【関連記事】住宅ローンの年齢制限は?借入年齢・期間と組むときのポイント5選を解説
金利の上昇が住宅ローンに及ぼす影響
先ほども触れたように、変動型・固定型の金利は、日銀が定める金利などによって上下します。
- 変動型:日銀の政策金利(短期金利)に連動する形で決まる
- 固定型:10年もの国債の金利に代表される長期金利などに連動する形で決まる
2023年9月時点において、海外の先進諸国では急激な物価上昇を抑制させるために政策金利を引き上げています。一方、日本では政策金利の引き上げはなされていないので、変動型の住宅ローンへの影響は現時点で限定的と言えます。
しかし、長期金利は上昇傾向にあるため、それに伴って固定型の住宅ローン金利も上昇している状況です。
日々のニュースで「金利が上昇して住宅ローンの金利も上昇」という言葉を聞くことがあるかもしれませんが、上昇したのが短期金利なのか長期金利なのかによって、及ぼす影響も異なります。
「変動型は短期金利と連動する」「固定型は長期金利と連動する」という原則を押さえておけば、日々の経済ニュースと住宅ローンの関係性も理解しやすくなるでしょう。
住宅ローン金利の選び方のポイント3選
住宅ローン金利を選ぶ際は、以下の3つのポイントを押さえて検討しましょう。
- 家計管理のしやすさをどれだけ重視するか
- 返済期間の長さがどの程度か
- 金利上昇に耐えられる返済余力があるか
ポイント①:家計管理のしやすさをどれだけ重視するか
自分が家計管理をするにあたって、住宅ローン返済額は固定されたほうがありがたいのか、多少の変動は許容できるのかを考えてみましょう。
「毎月の返済額は一定になっているほうが長期的にみても安心できる」のであれば、固定金利のほうがおすすめです。逆に、「収入とのバランスを見ても比較的余裕はあるから、繰上返済も見越して低い金利で住宅ローンを借りたい」場合は変動金利のほうがよいでしょう。
家計を細かく・厳密に管理したい場合は、固定金利のほうが向いているといえます。ただし、変動金利といっても毎月変動するわけではないため、そこまで家計管理が煩雑になるものでもないでしょう。
ポイント②:返済期間の長さがどの程度か
「住宅ローンを何年にわたって返済するのか」という視点も重要です。
住宅金融支援機構が提供する「フラット35」であれば、返済期間の35年間にわたって固定金利で住宅ローンを借りられます。
ただし、住宅ローンの借入年齢が40歳の場合、完済年齢は75歳になるため、退職後のローン支払いに不安が残るでしょう。
収入が比較的高い家庭の場合は、返済期間を短めに設定し、低金利が魅力の変動金利で住宅ローンを組むのも選択肢として考えられます。さらに、繰上返済をすれば完済年齢を前倒しできるので、定年退職の前にローンを完済させることもできるでしょう。
前提として、借入予定額はいくらなのか、完済年齢を何歳にするか、毎月の返済希望額によって、取り得る返済期間は異なります。いずれにしても、ライフプランを立てた上で選択肢を検討することが大切です。
ポイント③:金利上昇に耐えられる返済余力があるか
変動金利を選ぶ際のリスクとして挙げられるのが「金利上昇による返済額の増加」です。
返済開始時点において、固定金利に比べて変動金利のほうが返済額が少ないとしても、将来的にどのようになっているかは分かりません。その上で、変動金利を選択した場合は、金利が上昇しても返済し続けられる余力があるかが極めて重要です。
- パートナーと2人で収入を得られるのか
- 安定的に収入が増える企業なのか
- お金がかかるイベントを当面控えていないか
経済的な余裕は、日々の暮らしにおける精神的な余裕にもつながるので、返済余力がどの程度あるかによって金利の種類を慎重に判断しましょう。
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まとめ:住宅ローン金利はライフプランを立てて慎重に選ぼう
住宅ローンの金利タイプは、変動型、固定期間選択型、全期間固定型の大きく3つがあります。
住宅ローン金利を選ぶ際は、以下の3つのポイントを踏まえて検討するのがおすすめです。
- 家計管理のしやすさをどれだけ重視するか
- 返済期間の長さがどの程度か
- 金利上昇に耐えられる返済余力があるか
住宅ローンの金利が将来にかけてどうなるか予測はつきませんが、政府が決定する短期金利と長期金利の上下と変動型・固定型の金利が連動することを理解しておけば、直近の方向性は掴めるでしょう。
住宅ローンは多くが30年以上返済し続けるため、ライフプランを明確にすることが特に重要です。いつ、どれくらいのお金がかかるのかをはっきりさせて、本記事の内容を参考に、家計を圧迫させないような住宅ローンを組みましょう。
当社でも、住宅ローンやライフプランの作成に関するご相談を承っています。住宅展示場ページからお近くの店舗をお探しいただき、お気軽にお問い合わせください。
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