公開:2023.07.19 更新:2023.12.05
【憧れの名作チェアを自宅に!】いつかは迎えたい、北欧デザイナーズチェアおすすめ4選
数え切れないほどの椅子が存在する中でも、北欧チェアは魅力がたくさん。家を建てたら、いつか一つ迎えたいと思っている方もきっと多くいるはず!(私もそのひとり)
なぜ名作と呼ばれる家具が北欧に多く存在するのでしょう。それは、北欧の冬が寒いだけでなく、日照時間が短いことが関係してきます。
暗くて長い夜が続くため、家の中で過ごす時間が長い北欧の人々にとって、家族と一緒に心地よく過ごすための住環境が必要でした。
そのため、長く愛用できる飽きのこないデザインと機能性を兼ね備えた数々の名作家具が生まれたのです。
今回は、そんな北欧チェアを代表とする名作チェア4選をご紹介します。
目次
01|CARL HANSEN & SØN / CH24(Yチェア)
▲背もたれが “Y”の字に見えることから、日本では “Yチェア”の愛称で親しまれている。
Yチェア(CH24)のデザイナーは、デザインの巨匠として知られていて、生涯で500種類以上の椅子をデザインしたハンス J. ウェグナー。
海外ではYの部分が鳥の鎖骨に見えると “ウィッシュボーンチェア”と呼ばれています。
Yチェアの歴史は古く、1950年から現在も世界中から愛され続けている椅子なんです。
▲ビーチ材のYチェア。ビーチ材は北欧でよく使われている材で、きめ細かく、手触りがなめらか。
アームと背が一体になったデザインで、曲木加工(蒸気をあてながら木材を曲げる加工)によって、柔らかく美しい曲線を描いています。
Yチェアのシンボルになっている背のY字は、単なるデザインではなく、加工のしやすさ、生産効率を上げる際に自ずとできた形なんです。
ウェグナー自身、家具職人だったことから、造形美、座り心地・使い心地だけでなく、機能性も追求されています。
座面に使われているペーパーコードは、職人が手作業で編まれており、1脚編むのに熟練の職人さんでも1時間くらいかかるんだそう。
ペーパーコード(紙紐)といっても丈夫で、使い込んでいくうちに少しずつ変形し、座る人のお尻の形に馴染んでくるんです。10〜15年のスパンで張り替えながら、使い続けられます。
▲CH24 Yチェア オーク材 オイルフィニッシュ(渡邊の自邸)
渡邊:
「実は、僕もYチェアに憧れを持っていて、家を建てた時にYチェアを迎えました。
アームが途切れているので、ご飯を食べる時にまっすぐ座るだけでなく、そのままくつろいで座ったり、横向きに座ったり、色々な座り方ができる椅子なんです!
ただ、Yチェアはアームチェアなので、テーブルの下に全部は入りきらない!
40cmほど出てしまうので、通路分も確保するとテーブルから1mくらいスペースが必要になってくるので、家づくり段階で配置計画も必要かな。
でも、直線のテーブルから半円の造形が出ているっていうのがかわいいんですよ!」
02|CARL HANSEN & SØN / CH88
▲CH88Tは座面が板座、CH88Pはレザーorファブリック仕様という違いがある(TとPで座面の高さに違い有り)
CH88は、1955年にスウェーデンで開催された国際博覧会に出展するため、ハンス J. ウェグナーがデザインしました。
デザインされた当時はプロトタイプ(試作品)のみ制作された椅子。職人に任せる作業が多かったこともあり、当時の技術では量産ができず生産に至りませんでしたが、2014年にウェグナーの生誕100年を記念して、復刻されました。
▲背がオーク材のオイル塗装、座面がレザー、脚がステンレススチール。木材・座面・脚のバリエーションが豊か。
ウェグナーのデザインでは珍しい木材とスチールの異素材で構成されています。木材とスチールの組み合わせでいうと、自邸のためにデザインされたPP701もあります。
笠木の部分には、Yチェアでも使われている曲木の技術を応用して、1枚の無垢材を曲げて、ゆったりとしたカーブを描いています。※笠木:背もたれの一番上の横渡しの部材
華奢に見えますが、背もたれ部分は厚みがあるのが特徴的で、背中を包んでくれます。
▲CH88P チェア オークオイルフィニッシュ ステンレスレッグ(四日市店 モデルハウス)
渡邊:
「当時の技術では生産が断念され、時代や技術の進歩によって復刻生産されたという事実は考え深いですね。
牛のツノのような笠木が目を引きますが、ツノのような部分に肘をおいてくつろいだり、バックをかけることもできるんです。
また、4脚までスタッキング(積み重ね)できるので、掃除の時に便利。ただ、座面がレーザーやファブリックだと、積み重ねた時に跡になることもあるので、注意が必要です。
ウェグナーの椅子の中では比較的手に届きやすく、スタッキングで可能・軽量な面から、北欧ではレストランなどでも多く使われているんですよ。」
03|Fritz Hansen / 3107 セブンチェア
▲インテリア雑誌にも取り上げられることも多い“セブンチェア”
デンマークのデザイナーでもあり建築家のアルネ・ヤコブセンが1955年にデザインした椅子。
数年前に、世界での販売台数が700万脚を超えていて、世界中で愛されている椅子です。
建築家でもあるアルネ・ヤコブセンは、建築と合わせて家具をデザインすることが多かったのですが、セブンチェアは椅子単体でデザインされたそう。
セブンチェアは、後ほど紹介するアリンコチェアの成功を受けて、さらなる座り心地とデザイン性を追及して開発されました。
▲カラーバリエーションが豊富
座面と背もたれは9層の薄い板(ベニヤ)で構成された成形合板。背中からお尻まで体のラインに沿って作られており、体をすっぽりと包み込んでくれます。
背もたれと座面が一体になっているため、座ったときに背もたれがしなり、木と思えないくらい当たりが柔らかく、座り心地がいいんです!
▲3107セブンチェア カラードアッシュ ブラック / クロームレッグ(一宮店 ガレージの家)
渡邊:
「実は、12脚までスタッキングができる椅子なので、使わないときは部屋の隅に重ねておけば場所も取らないし、掃除も楽なので、サブチェアとしてもおすすめです!
スタッキングした時に、下の座面が傷つかないよう椅子の裏側に保護キャップもあるんです!
カラーバリエーションだけでなく、前面のみファブリックやレザーで覆われている “フロントパディング仕様”、両面に貼る“フルパディング仕様”など、さまざま。これだけあると、ついつい集めたくなりますよね!」
04|Fritz Hansen / 3101アントチェア(アリンコチェア)
▲発表された当初は3本脚としてデザインされたが、その後、安全性を考慮し、4本タイプが発売された。
デザイナーはセブンチェアと同じアルネヤコブセンで、3年早い1952年にデザインされました。
フォルム(くびれ)と細い脚が蟻を連想させることからアント(アリンコ)チェアと呼ばれるようになりました。
アルネヤコブセンが製薬会社ノボノルディスク社の設計をしたときに、社員食堂用の椅子としてデザインされました。
こちらもセブンチェアと同じく、背もたれと座面を一体にした成形合板。
セブンチェアよりも一回りほど小さく、場所を取りたくない、ダイニングをコンパクトにしたい方、立ったり座ったりが多い方におすすめです!
渡邊:
「当時は3本脚のアントチェアが販売されていました。
4本脚より3本脚の方が椅子は安定していると言われています。カメラの三脚も3本であるように、物体を自立させるっていう意味では、3本の方がバランスが取れやすく安定するんです。
また、4本より3本の方が見た目がコンパクトになり、収納しやすくなる、脚が1本少ないだけでコストが抑えられるということで、3本脚の椅子が当時いくつかデザインされていたそう。
ただ、3本だと物体としての安定性は増すものの、座った際の転倒リスクがあるため、現在4本椅子が主流になっているんです!
実は、アルネ・ヤコブセンは3本脚にこだわりがあり、死ぬまで4本にすることを拒否していたとか。アルネ・ヤコブセンの死後、ご家族の了承を得て、4本脚が販売されるようになりました。」
▲CH24 Yチェア ビーチ材 ソープフィニッシュ(四日市店 モデルハウス)
いかがでしたでしょうか。
今回紹介したのは、北欧チェアを代表とする名作チェア4選でしたが、北欧チェアは美しいデザインと上質な素材が融合した名作ばかり。
北欧チェアだけでなく、世界中にはご紹介できないほど、素敵な椅子がまだまだ存在します!
決して安いわけではありませんが、見た目だけでなく、こだわり抜いた素材や使い心地、追求された機能性など、デザイナーの情熱や制作背景を知ることで、愛着が湧いてきませんか?
すてきな椅子が1脚あるだけで心を豊かにしてくれます!ぜひ、自分に合った1脚を見つけてみてください!