公開:2020.12.22 更新:2023.01.31
片流れ屋根は雨漏りしやすい?メリット・デメリットや後悔しないためのポイントを解説
スタイリッシュな見た目が人気を集めている片流れ屋根。片方だけに傾いている姿がおしゃれで、住宅のデザインを重視する人の支持を集めています。
その片流れ屋根ですが、「雨漏りしやすいのでは?」という声があります。それは本当なのでしょうか。片流れ屋根の雨漏りの可能性や、メリット・デメリットについてご紹介します。
目次
片流れ屋根とは
片流れ屋根とは、1つの方向に向かってのみ傾いている形状の屋根です。1枚の板が斜めに設置されているようなデザインになります。
もともとは小さな建物や物置によく使われている形状でしたが、最近はスタイリッシュな見た目やコンパクトな住宅が増えているという事情もあり、人気を集めるようになっています。
また、最近は住宅事情の変化により、平屋住宅を好む人も増えています。平屋住宅に片流れ屋根を設置すると、屋根の傾斜がないほうに使えるスペースが増えるというメリットがあります。
片流れ屋根は平屋でも高い位置に窓をつけたい、屋根の圧迫感を減らして開放感を出したいという人の希望を叶えやすい特徴があります。
片流れ屋根は雨漏りしやすいのか
結論から言ってしまうと、片流れ屋根の雨漏りリスクは「高い」です。一般的に雨漏りは屋根の構造が複雑なほど発生しやすいと言いますので、シンプルな構造の片流れ屋根が雨漏りをしやすいというのは意外な事実です。
片流れ屋根はシンプルですが、屋根と外壁の接合部分がほかの屋根の構造に比べて傷みやすい性質を持っています。接合部分が劣化するとそこから雨水が入りこみ、雨漏りを起こしてしまうわけです。
保険会社の調査では、新築住宅の雨漏りのじつに75%が片流れ屋根で起きているという結果が出ています。人気と需要が高まる片流れ屋根ですが、快適に暮らすためにもしっかりした雨漏り対策が必要なようですね。
片流れ屋根のメリット
思わぬ弱点がある片流れ屋根ですが、もちろんメリットがあるからこそ人気を博しているのです。
片流れ屋根のメリットについて見てみましょう。
メリット①:建築費用を抑えることができる
片流れ屋根はほかの形状の屋根に比べ、設置費用を抑えられる傾向にあります。シンプルな構造であり、設置するべき雨樋も1方向だけで良いというのがその理由です。
ローコストで家を建てたいときやほかの部分に予算を回したいとき、片流れ屋根を選択すると予算上の悩みを解決する助けになるでしょう。
メリット②:モダンでおしゃれな外観
モダンでおしゃれな外見も、片流れ屋根の大きなメリットです。シンプルだからこそ際立つモダン性が人気を集めています。
長く住む家のデザインにこだわるのは当然で、屋根も重要なデザイン項目ですよね。片流れ屋根はシンプルさの中にも優れたデザイン性を持っているため、住宅の居住性も見た目も楽しみたい人に嬉しいメリットがあります。
メリット③:屋根裏を有効活用できる
片流れ屋根は、屋根のすぐ下にできる空間を活用しやすいというメリットもあります。屋根のすぐ下の空間、つまり屋根裏です。
片流れ屋根は屋根の勾配を調整しやすく、緩やかにすることによって、屋根裏のスペースを広く取れる性質があります。収納スペースを広く取りたい人や、子供の頃に憧れた秘密基地めいた小部屋が欲しい人にはぴったりです。
また、屋根に窓を開けなくても、周囲3方向の壁に窓を設置できるというメリットにも繋がります。採光性が高まるため、明るい空間を作り出すことができるでしょう。
片流れ屋根のデメリット
メリットの多い片流れ屋根ですが、デメリットがあります。次はデメリットについて見てみましょう。
デメリット①:妻側(ケラバ側)や棟部から雨漏りのリスクがある
片流れ屋根で多くの人が懸念するデメリットは、妻側(ケラバ側)や棟部からの雨漏りです。強い雨のときには野地板と破風板の境から雨水が入りこんでしまうことがあり、雨漏りが起きてしまうのです。
また、ケラバ側には雨水が集中しやすいという性質があります。雨水が集中すれば雨漏りのリスクが上がるのも当然です。しっかりとした雨漏り対策が必要になるでしょう。
デメリット②:台風や強風の影響を受けやすい
屋根の性質として、傾斜のある面数が多ければ多いほど風の影響を分散することができます。片流れ屋根は一方向への傾斜に限られているため、風の影響を分散しにくくなるという特徴があります。
そのため、ほかの形状の屋根と比較すると、どうしても台風や強風に弱いというデメリットが生じてしまうのです。台風や強風で屋根瓦やほかの部品が傷んでしまうリスクが高いといえます。
デメリット③:換気が難しくなることがある
片流れ屋根は換気が難しいというデメリットがあります。多方向に傾斜している一般的な屋根は、たとえば三角形の屋根なら2箇所に通風口を設置することができます。
一方、片流れ屋根は1箇所にしか通風口が設置できません。そのため、充分な換気が難しくなってしまうのです。
換気に難があると湿気が家の中に溜まりがちになってしまうため、腐食やカビの心配が出てきます。小まめな換気が望ましいでしょう。
片流れ屋根で後悔しないためのポイント
片流れ屋根を新築住宅やリフォームに取り入れたいと考えているのなら、後悔のないようにしたいですよね。ベストな家を手に入れるために、意識しておきたいポイントをチェックしましょう。
ポイント①:雨漏り対策をしっかり行う
片流れ屋根で多くの人が心配する雨漏り対策は必須です。効果的な対策としては「透湿ルーフィング(防水シート)で棟板金を覆う」「水切り板金をケラバに付ける」というものがあります。
防水シートで雨水の浸入と建材の傷みを防ぎ、水切り板金でケラバに土ホコリが溜まらないようにして、雨水が溢れ出さないようにします。いずれもハウスメーカーに相談してみてくださいね。
ポイント②:勾配に注意する
片流れ屋根は勾配にも注意が必要です。勾配がなだらかだと屋根の下に広いスペースを設置できますが、緩すぎると屋根の雨水が落ちにくくなり、雨漏りのリスクが増加してしまいます。
だからといって勾配を急にすると屋根の下のスペースが狭くなります。また、雨水が勢いよく流れるようになるため、雨樋への負担も大きくなってしまいます。雨樋の負担増加は雨漏りリスクの増加にも繋がります。
屋根には適した勾配があります。ハウスメーカーとよく相談し、屋根の下にあるスペースの広さや家の見た目の希望などを伝えつつ、適した勾配に調整しましょう。
ポイント③:向き(方角)に注意する
片流れ屋根の向き(方角)は居住性に大きくかかわってきます。とくに採光性を重視するのであれば、傾斜がどの方角になるかをしっかり考慮したほうが良いでしょう。
片流れ屋根は一方向からしか光が入ってこない構造です。傾く方向を間違えると、充分な採光性が得られない可能性があります。
太陽がどのように当たるのかを事前にチェックしておきましょう。地域の季節ごとの日照時間や周囲の建物の高さなども重要ですね。
まとめ
モダンでおしゃれな雰囲気を持つ片流れ屋根は、建築費用の節約や、屋根の下にあるスペースの有効活用ができるメリットを持っています。一方で雨漏りのリスクや台風・強風のダメージを受けやすいというデメリットもあり、いくつかの対策が必要になることも確かです。
もしも片流れ屋根の住宅購入を考えているのなら、デメリットだと考えられることはぜひハウスメーカーに相談してみてください。有効な対策を提案してくれるでしょう。
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