公開:2024.03.18
省エネ住宅の条件は?基準や性能・使える補助金・減税措置を解説
省エネ住宅とは、エネルギーコストを削減できる住宅のことで、住みやすく環境にもやさしい暮らしを実現できます。
補助金や減税措置などの金銭的サポートを受けられるケースもあり、省エネ住宅を新築する人にとって、費用負担の軽減につながるでしょう。
ただし、留意すべき点は国が定めた基準があることです。
「省エネ基準」に適合しなければ受けられないサポートがあるため、条件をきちんと理解する必要があります。
この記事では、省エネ住宅の基準と性能について詳しく解説します。使える補助金や減税措置の内容もまとめていますので、新築住宅を検討している人は参考にしてください。
目次
省エネルギー住宅とは
省エネルギー住宅とは、国が定めた「省エネルギー基準」を満たしている住宅のことです。
具体的には、住宅性能表示制度において断熱等級4以上の住宅を指します。
高い省エネ性能は、住宅のエネルギー消費のうち約3割を占めるとされる、冷暖房のエネルギー消費の削減につながるだけでなく、居住者にとっても多くのメリットがあります。
たとえば、冷暖房効果を高められるため一年を通して快適に暮らせることや、冷暖房効率がいいため、エネルギー消費量が少なく光熱費削減を実現できることです。
さらに、寒い時期はヒートショックの危険性が高まることもあり、室温を均一に保てる住宅は健康リスクの低減につながるでしょう。
また、結露対策のほかカビやダニの発生抑制にも効果的なため、住宅が劣化しにくいのも大きなメリットといえます。
省エネ住宅は義務化される
2021年10月に決定された地球温暖化対策に関する施策強化をうけて、建築分野のエネルギー消費削減は避けられない課題の1つとして取り上げられました。
その後、2022年6月の「建築物省エネ法」改正に伴い、新築における省エネ住宅の建築が2025年までに義務化されることが決定しています。
現在、一戸建て住宅に付与される断熱等級は7までありますが、元々は等級4が最高値でした。2022年4月に等級5が、同年10月に等級6・7が新設され、段階的に最高等級が引き上げられています。
前述したように、省エネルギー住宅は断熱等級4以上と指定されていますが、2030年までに「断熱等級5」を義務化の最低ラインと定める方針が発表されています。
この先、新築住宅を計画している人は、省エネ住宅を前提に検討する必要があるでしょう。
省エネ住宅を上回る基準の「ZEH」
政府は、2050年脱炭素社会の実現に向けて、省エネ住宅に新しい評価基準を設けました。
それが「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」、すなわち「ZEH(ゼッチ)」です。
名前のとおり、家庭でのエネルギー消費をゼロ以下にすることを目的としています。太陽光発電などの創エネルギー設備を導入して、エネルギー消費の実質量を減らしていく狙いです。
加えて、省エネルギーに貢献する高性能な外壁や屋根、窓を取り入れることで、居住者にとって過ごしやすく、かつエネルギー消費量の低い住宅環境を目指します。
ちなみに、「ZEH住宅」と混同されがちな「スマートハウス」は、ITを利用して効率的にエネルギーを消費する住宅という意味です。以下の記事でも解説しているように、省エネという観点では同じですが、目的が異なることを覚えておきましょう。
【関連記事】スマートハウスってこんなに便利!3つのメリットや補助金について徹底解説
省エネ住宅の実現に役立つ設備
省エネ住宅の実現に役立つ設備には、主に以下の3つがあります。
- 太陽光発電システム
- 蓄電池
- 省エネ家電
効率的なエネルギー消費に向けて、自家で「電気を作る・貯める」仕組みを構築することが求められるため、後述する住宅性能のみに頼るだけでは不十分です。
高い住宅性能に加えてこれらの設備を導入すれば、省エネ住宅の実現はより現実的になるでしょう。
太陽光パネルと蓄電池の併用については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】太陽光パネルと蓄電池を併用するメリット・デメリット・注意点を解説
省エネ住宅の実現に必要な3つの性能
省エネ住宅に欠かせない、以下3つの性能について解説します。
- 断熱性能
- 日射の遮蔽性能
- 気密性能
これらの性能は、工務店により取り入れ方やアプローチ方法がさまざまです。モデルハウス見学を通して、直接目で見たり体感したりすることで、性能ごとの理解を深めましょう。
性能①:断熱性能
住宅の内側と外側との熱移動を少なくする役割を果たすのが、断熱性能です。
温度は高いほうから低いほうへ移る性質をもつため、暖房をつける冬には室内の暖かい空気が外に逃げやすく、冷房をつける夏には暖かい外気が室内に入りやすくなります。
その結果、稼働している家電などは、室内温度を一定に保とうと多くのエネルギーを消費してしまうのです。
高い断熱性能は、外気温に影響されにくい安定した室温を保つのに役立ち、余分なエネルギー消費を抑えられます。
性能②:日射の遮蔽性能
省エネ効果を高めるには、断熱性能と合わせて、外部からの日射をカットすることも大切です。
特に、夏の日照時間は長く「日中に暖められた室内気温が、夜になってもなかなか下がらない」と感じることも多いでしょう。
そのため、室内へ日射熱が入らないよう工夫する必要があります。
たとえば、庇(ひさし)を取り入れたり、日射遮蔽効果のある窓を設置したりする方法が一般的です。
性能③:気密性能
隙間を無くして、空気の出入りをできるだけ少なくするには、住宅の気密性が関わってきます。
暖かい空気、または涼しい空気を外に逃がさないためにも、「隙間」が無いに越したことはありません。
とはいえ、健全な住環境を保つには、換気して新鮮な空気を取り込むことも大切です。
高い気密性で冷暖房効率を高めつつ、適度な換気で室内環境を良好に保ちましょう。
省エネ住宅を建てた際の補助金や減税措置
住宅の省エネ化は、国が精力的に推進する施策であるため、補助金や減税措置を受けられるケースがあります。以下は、2024年時点の優遇制度の一例です。
- ZEH支援事業
- 子育てエコホーム支援事業
- 給湯省エネ事業
- 住宅ローン控除(所得税の減税)
- 固定資産税や不動産取得税の減税
- 各自治体で行われる補助金
ZEH支援事業
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた住宅の省エネ・省CO2化を推進する取り組みとして、戸建て住宅におけるZEH・ZEH+化を支援しています。
補助対象住宅 | ZEH住宅(注文・建売) ZEH+住宅 |
補助額 | ZEH:55万円/戸 ZEH+:100万円/戸 |
実施期間 | 2021年度~2025年度 |
引用元:環境省|戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
そのほか、断熱等性能等級6以上の外皮(外壁・窓・屋根)の強化や蓄電システム導入などの際は、別途補助を受けられます。
子育てエコホーム支援事業
省エネ住宅の新築や取得をする子育て世帯・若者夫婦世帯に対して、補助金が支給されます。
対象者 | 子育て世帯または若者夫婦世帯 |
補助対象事業 | 注文住宅の新築 新築分譲住宅の購入 |
補助額(上限額) | 長期優良住宅:100万円/戸 ZEH住宅:80万円/戸 |
交付申請期間 | 2024年3月中下旬~予算上限に達するまで (遅くとも2024年12月31日まで) |
なお、住宅の省エネ化に向けたリフォームをする場合においては、子育て世帯・若者夫婦世帯に限らず補助金が支給されます。
給湯省エネ事業
家庭のエネルギー消費量のうち約3割を占める給湯器において、エネルギーコスト削減を目的に、高効率給湯器を導入する際に補助金を支給する取り組みです。
対象者 | 高効率給湯器を設置する者 |
補助対象住宅 | 新築注文住宅 新築分譲住宅 既存住宅(購入・リフォーム) |
補助額(上限額) | 以下の合算額(※)
|
交付申請期間 | 2024年3月中下旬~予算上限に達するまで (遅くとも2024年12月31日まで) |
設置する給湯器や撤去工事の内容により補助額が異なるため、詳しくは公式ホームページをご確認ください。
なお、事業内容が重複するほかの補助金制度との併用はできませんので注意が必要です。
※性能加算額は条件を満たす場合のみ、撤去加算額は撤去工事をする場合のみ支給されます
住宅ローン控除(所得税の減税)
住宅を購入する際に住宅ローンを組んだ場合は、規定の条件下で住宅ローン控除の対象となり、年末のローン残高の0.7%が最長13年にわたり控除されます。
省エネ基準を満たさない新築住宅においては、2024年1月より住宅ローン控除の対象外となったので気をつけましょう。
引用元:国土交通省|住宅ローン減税
固定資産税や不動産取得税の減税
省エネリフォームを行った場合、工事完了年の翌年度分の固定資産税が3分の1減税されます(120㎡相当分まで)。
不動産取得税の減税においては、新築住宅の場合1,200万円の控除が基本ですが、認定長期優良住宅の場合は一定期間に限り1,300万円に拡大されています。
減税額拡大の適応期間については、各自治体ホームページをご確認ください。
引用元:国土交通省|令和5年度省エネリフォーム税制(固定資産税)
各自治体で行われる補助金
各自治体では、省エネ住宅の購入や省エネ化リフォームの費用負担軽減を目的に、独自の支援事業を行っている場合があります。
たとえば、愛知県では、太陽光発電設備や蓄電池、高性能外皮(外壁・屋根・窓)などの導入時に、市町村ごとの補助制度を設けています。
三重県では、対象の省エネ家電を5万円以上購入した際に、購入額に応じたキャッシュレスポイントを付与する施策が行われていました。(交付申請期間は2023年3月7日で終了)
お住まいの地域により補助内容が異なるため、各自治体のホームページを確認してみるとよいでしょう。
引用元:
まとめ:省エネ住宅で家計の負担を効率よく減らそう
省エネ住宅とは、断熱等級4以上に値する住宅のことで、断熱性・日射遮蔽性・気密性を高めて、住宅におけるエネルギーコストの削減が期待できます。
その中でも、より高い省エネルギー性能を備える住宅を「ZEH(ゼッチ)」住宅と呼びます。
省エネ住宅を建てる際は、補助金や減税措置などの金銭的サポートが各種用意されているため、これから家づくりをする人は本記事を参考にしてみてください。
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