公開:2022.11.24 更新:2023.05.19
30坪の家は狭い?広く見せる5つのコツと間取りの工夫を紹介
家は大きければ大きいほど良い、と考えている人は少なくないのではないでしょうか。あんな部屋も欲しい、こんな部屋も欲しいといろいろ考えているうちに、願望がどんどん膨らんでいって、収拾がつかなくなってしまいます。
しかし実際の生活を具体的に考えてみると、私たちにはそれほど大きな家は必要ないことがわかります。具体的には30坪ほどの広さがあれば、ほとんどの家庭で十分に満足のいく生活が可能です。
この記事では「30坪の家」を、具体的にどのような生活感になるのか、より広く見せるにはどのようなコツがあるのかなどを解説します。また、30坪の面積を有効活用した実例もいくつか紹介します。
目次
30坪の家は狭い?
30坪がどのくらいの広さなのか、うまくつかめない方のために別の単位に直してみますと、およそ100平方メートルとなります。畳に換算すると約60畳分です。
さて、上記の家は果たして狭いのでしょうか?
国土交通省が発表している住宅経済関連データを参考にすると、平成30年の着工新設住宅(持ち家)の延べ床面積は、平均で119.7平方メートルとなっています。この数字と比べると、100平方メートルはやや狭い部類に属しています。しかし「誘導居住面積水準(※1)」という指標で考えると、都市住宅型の場合は4人家族で95平方メートル、一般型であれば3人家族で100平方メートルでも十分だと述べられています。昨今は子どもを持たない夫婦や一人っ子の家庭も増えているので、これらを総合的に考えるのであれば、100平方メートルでも十分に生活していけるのではないでしょうか。
結局のところ肝心なのは、30坪の家をどのように使うのか、です。
※1 誘導居住面積水準とは、世帯人数に応じて豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準のこと。
参考:住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)、着工新設住宅の床面積の推移|国土交通省
30坪の家が狭いとは言わせない!広く見せる5つのコツ
30坪の家であっても、工夫次第で実際以上に広く見せられます。主なコツとしては以下の5つが挙げられます。
- インテリアを駆使する
- 収納を工夫する
- 廊下をなくす
- 一部屋を大きくする
- 天井を高く、窓を大きくする
上記を1つ1つ実現していけば、30坪の家が見違えるように広々と感じられることでしょう。以下の解説をじっくり読んで参考にしてみてください。
コツ①:インテリアを駆使する
部屋の印象はインテリア次第で大きく変わってきます。たとえば同じ8畳の広さの部屋であっても、ほんのわずかなインテリアの違いで視覚的に受ける印象はまるで違うものになります。
たとえば収納ラックなどの場所を取る家具を設置する代わりに、壁に直接収納棚をつけてみたり、ウォールミラーを壁に貼り付けて奥行きがあるように演出したり、などの工夫を掛けあわせてみてはいかがでしょうか。
ちょっとした形状や色彩の違いによって受ける印象の違いをうまく計算しながら、部屋のインテリアを決めていくことをおすすめします。
上手なインテリアの選び方は以下の記事をご参考ください。
【関連記事】インテリアのスタイル一覧を種類別にご紹介!おうちを統一してさらにおしゃれに
コツ②:収納を工夫する
収納を工夫するのも、30坪の家をできる限り広く見せるためのポイントとなります。このように書き出すと「収納スペースをできるだけ狭くするべきなのか」と考える方も多いと思われますが、むしろその反対を意識するべきでしょう。収納スペースはできるだけ広く確保しておくことをおすすめします。
収納スペースを広く取ると、生活空間が狭くなってしまうのではないかと心配する方も多いかもしれません。しかし収納が不十分だと、その分居住者が生活する空間、すなわち目に付きやすい場所に家具を増やさなければならなくなります。
結果として部屋が狭く感じられてしまうことになりかねないので、あらかじめ収納スペースをきちんと確保しておくことが重要となります。ただしもちろん、使い切れないほどの収納スペースを確保する必要まではありません。
コツ③:廊下をなくす
廊下をできる限りなくすのも、家をできるだけ広く見せる手段としては有効です。廊下は基本的にただ歩くためだけに部屋と部屋のあいだに用意された空間であり、その分だけ肝心な部屋の面積を削っているからです。
もちろん、廊下の存在がまったく無駄なわけではありません。たとえば廊下があるからこそ、部屋から発せられる音や臭いがうまく遮断されるなどの面もあります。
しかし30坪の部屋をできるだけ広く見せることを考えたとき、何も考えずに廊下を設けてしまうことによって各部屋が小さくなってしまうのは致命的です。限られた空間のなかで可能な限り部屋が広い印象を与えたいのであれば、なるべく廊下はなくしてしまうべきでしょう。
どんな間取りが良いかお悩みの方は以下の記事をチェックしてみてください。
【関連記事】新築間取りの成功例”5選”!事前のチェックポイントもあわせて紹介!
コツ④:一部屋を大きくする
1つひとつの部屋をできるだけ大きく設計するのも、30坪の限られた空間を広く見せるコツとなります。なぜなら部屋の数が多いことが広さのイメージに寄与することはほとんどなく、むしろ各部屋が狭いことで窮屈な印象を与えてしまうからです。
部屋の数が少なくても、たとえばリビングが広く設計されていれば、そこにいるだけで広々とした空間でくつろいでいる実感を得られます。広いイメージを作り出すうえで大切なのはその感覚なので、できるだけ一部屋を大きくすることを重視するべきでしょう。
ただし家族の人数が多い場合に、無理して部屋の数を減らすことまではおすすめできません。このあたりは各家庭の事情との兼ね合いとなります。
コツ⑤:天井を高く、窓を大きくする
同じ30坪の家であっても、天井が高ければそれだけ広々と感じられます。30坪はあくまでも面積の話ですが、人間は高さも含めた容積で、そこが広いかどうかを感覚的に判断するからです。
建築にはさまざまな条件や制約があるので、無制限に天井を高くすることはできないでしょうが、天井はなるべく高くしたほうが良いことを覚えておきましょう。
また窓を大きくすることにも、部屋を広く見せる効果があります。窓から見える外界の景色がもたらす広々としたイメージが、部屋の見方に影響を与えるからです。
空間を有効活用!30坪の家の間取りに成功した実例5選
ここでは、30坪の制限のなかで空間を有効活用し、広いイメージを持たせることに成功した実例を5つ紹介します。
実例①:海外ドラマを再現したようなアメリカンハウス
普段の生活動線に合わせた収納や、設備配置のアイデアがいっぱい詰まった住まいです。
空間を広く見せるため、内装全体や設備はシンプルで飽きのこないホワイトやブラウンで統一。
天井高は他社よりも高い2.6mに設定し、開放的なスペースを確保しました。
ランドリールームには圧迫感のない洗練された色味の壁紙を採用。
あらかじめ設置する予定の洗濯機やラックのサイズを考慮して設計することで、スペースの無駄を省き、短い動線を実現しました。
設備だけでなく、毎日使用するアイテムのサイズに合わせた造作ニッチも、家事を楽にするために取り入れたいポイントのひとつです。
実例②:家具のような佇まいのこだわりキッチンと、サンルームがある家
センスのあるデザインを施されたキッチンを、あえてリビングの目立つ位置に配置し、キッチンを中心に家族のコミュニケーションが成り立つよう設計された間取りとなっています。
キッチンのすぐ隣にダイニングテーブルが置かれていて、調理中でも家族と団らんできるのがポイント。縮めるべき距離を大胆に縮めることで、ほかの場所に広さが生まれるという一石二鳥のデザインです。ダイニングと直結しているサンルームは、遊び場や洗濯物を干す場所にも有効活用できます。
2階は夫婦の寝室と子ども部屋になっており、無駄なスペースのない最小限の配置を実現。
ウォークインクローゼットなど十分な収納スペースを確保しているので、ものが溢れる心配もなく、すっきりとした居心地の良い空間を楽しめます。
実例③:シンプルさを追求した無駄のない家
シンプルで飾らないことをコンセプトとした住まいです。玄関の土間部分にはモルタルを採用し、無駄を省きつつもスタイリッシュな空間を実現。容量の大きなシューズクロークを併設しているので、靴が溢れて散らかった印象になる心配もありません。
内装から間取りまでとにかくシンプルさを追求しており、「すっきりしたイメージを与えること」「実用的であること」の2つを限られた空間のなかでしっかり確保することを重視しています。
バスルームから中庭を眺められるなどの工夫もあり、30坪の制約を感じさせないリラックスした生活が可能となっています。
実例④:ミニマルに暮らす平屋のガレージハウス
1LDKのコンパクトな間取りでありながら、車2台分のインナーガレージを確保した大胆なデザインが特徴です。玄関とガレージは直結になっており、ガレージの広い空間を生活空間の延長として活用できる仕組みになっています。
LDKは22帖あり、天井の高さと相まって広々としたイメージ。フローリングの床と天井の表し梁がもたらす木の温かみが、リラックスした雰囲気を与えてくれます。またキッチン横の洋室には屋根裏収納を完備しており、無駄なものを目に見える範囲に散らかさないための重要な役割を果たしています。
実例⑤:心豊かな暮らしを愉しむアイデア満載の家
黒でまとめたスタイリッシュな外観にブラウンのレンガがアクセントに効いた人気のキューブ型の家です。
LDKは17.3帖を確保し、インテリア家具を最低限のものだけに絞ることでスペースを広く見せ、すっきりとした仕上がりになりました。
また、リビングルームに設けられた3帖の小上がりの畳コーナーは、カーテンなどの間仕切りがなくても空間を緩く仕切り、収納を増やせるといったメリットがあります。
シンプルなLDKとは対照的に、部屋の所々にはひとりの時間を大切にできるようちょっとしたワークスペースを設計。
彩り豊かな柄やカラーを取り入れることで、愛着の湧く空間となっています。
まとめ
30坪の家は狭いのか?という疑問に答えるとともに、30坪の空間をなるべく有効活用するコツなどを解説しました。
広い家に憧れるのは誰しも同じかもしれませんが、現実的にそのような家に住むのは難しいうえ、実際に広い家に住むとなると維持するのも大変です。それならば30坪の限られた面積の家屋であっても、うまく工夫して広々としたイメージを感じられるよう努めるほうが賢明ではないでしょうか。
この記事を参考にして、ぜひ実際以上に広さを感じられる住み心地の良い家を手に入れてみてください。
また、17帖のLDKを広く見えるように工夫した家のルームツアーの動画をYouTubeで公開しています。気になる方は、ぜひご覧ください。
【関連記事】平屋で30坪の間取りの実例を4つ紹介 | 金額相場はどれぐらい?
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施工事例から広く見える家を探してみませんか?
30坪の家であっても、工夫次第で実際以上に広く見せられます。主なコツとしては以下の5つが挙げられます。
①インテリアを駆使する
②収納を工夫する
③廊下をなくす
④一部屋を大きくする
⑤天井を高く、窓を大きくする
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