公開:2023.04.27 更新:2023.05.19
屋根や外壁に最適!ガルバリウム鋼板のメリット・デメリットと施工事例
金属系サイディングの素材の1つであるガルバリウム鋼板。
2000年代に住宅用建材としての使用が始まって以降、見た目のおしゃれさや機能面が注目され広く普及してきました。
しかし、屋根や外壁は外観を大きく左右する重要なポイントです。
新築やリフォームを考える際に、頭を抱える人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ガルバリウム鋼板のメリットとデメリットについて詳しく紹介します。
後半の使用事例もご覧いただき、ぜひイメージづくりにお役立てください。
目次
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%の比率で構成されたガルバリウムという合金でメッキ加工を施した鋼板のことです。
現在では、ガルバリウムにマグネシウムを添加した「SGL(スーパーガルバリウム)」が多くの金属屋根メーカーにて採用されています。
これにより耐食効果は、従来のガルバリウムに比べ3倍以上に強化されました。
厚みは0.35~0.5mm程度。非常に薄い鋼板であるため、既存の屋根や外壁に重ねて設置する「カバー工法」にも適しており、リフォーム分野で注目を集めています。
ガルバリウム鋼板のメリット
ガルバリウム鋼板には、以下5つのメリットがあります。
- 耐久年数が長い
- サビに強い
- 耐震性が高い
- おしゃれでデザイン性が高い
- 外壁材がひび割れしにくい
サビにくさや耐久性の高さ、デザイン面でも優れており、バランスのとれた建材といえるでしょう。
メリット①:耐久年数が長い
ガルバリウム鋼板の耐久年数は20~30年以上、メンテナンスを定期的に行うことで40年以上にわたる利用が可能です。
同じ金属性の建材であるトタンは10~20年と短く、ガルバリウムの耐久性の高さがうかがえるのではないでしょうか。
ただし、サビから生じる穴あきを未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスは必要不可欠です。
15年に1回を目安にメンテナンスを行うとよいでしょう。
メリット②:サビに強い
ガルバリウム鋼板は、金属製建材の中でも特にサビに強いという特徴があります。
サビやすさが懸念される金属素材ですが、トタンやアルミに比べガルバリウムのサビにくさは数倍以上。
外壁に見えるサビは見栄えも悪く美観を損ねるため、サビに強いという点は素材選びにおいて見逃せないポイントです。
メリット③:耐震性が高い
ガルバリウム鋼板は1mm厚に満たない非常に軽い建材のため、建物の耐震性向上につながります。
建材が重いほど建物にかかる負荷が強まり、地震による揺れも強くなる傾向があるからです。
その点、ガルバリウム鋼板を使った外壁はモルタル外壁の10分の1、窯業外壁の4分の1の重さしかありません。
そのため、建物にかかる負荷を軽減できるのです。
メリット④:おしゃれでデザイン性が高い
金属感を活かしたスタイリッシュでおしゃれなイメージをもつガルバリウム鋼板。
例えば、鋼板に凹凸をつけラインを際立たせると、陰影が目立ち立体感のあるデザインに。
また、カラーバリエーションも豊富なため、発色が難しいとされる濃い目の色からビビットな色まで様々なカラーリングが可能です。
素材がかもし出す印象的な雰囲気に惹かれる人が多く、金属と木材を組み合わせるなど個性的なデザインを楽しめるでしょう。
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メリット⑤:外壁材がひび割れしにくい
ガルバリウム鋼板は、ひび割れの恐れがほとんどありません。
ひび割れの主な原因は、大きな地震が起きた時や寒冷地域で起こる凍結といわれています。
屋根材に使う瓦やスレート、外壁に使うモルタルや窯業系サイディングなどは経年劣化によりひび割れが起こりやすい建材です。
一方ガルバリウム鋼板は、金属素材のためひび割れが起こりにくい建材だといえます。
ガルバリウム鋼板のデメリット
ガルバリウム鋼板にみられるデメリットは以下の5つです。
- 施工が難しい
- デザインのバリエーションが少ない
- 凹みやすい
- 錆びることがある
- 断熱性が低い
屋根や外壁の取り換えは、簡単にできるものではありません。
メリットだけでなくデメリットもしっかり把握し、慎重に選びましょう。
デメリット①:施工が難しい
材質自体に塗料が付着しづらいガルバリウム鋼板は、専門的な板金技術を備えた専門業者でなければ施工が非常に困難です。
上手く塗料が付着せず、数年で剥がれてしまうという可能性が起こり得るからです。
また、ガルバリウム鋼板は薄い建材であるため、傷に弱い一面をもっています。
施工過程で物をぶつけたり、鉄粉の後始末が不十分だったりした際に、そこから腐食が進むことも考えられるでしょう。
そのため、ガルバリウム鋼板を施工する場合は、瓦屋や塗装屋ではなく板金工を専門とする業者に依頼することがおすすめです。
デメリット②:デザインのバリエーションが少ない
独特な雰囲気、豊富なカラーバリエーションをもつガルバリウム鋼板ですが、デザインの選択肢が少ないというデメリットがあります。
外壁は建物の印象を左右するポイントの1つ。
新築やリフォームを検討する際には、多くの選択肢の中から選びたいという人も少なくないでしょう。
デザインのバリエーションにおいては、レンガ調やタイル調など様々なデザインを再現できる窯業系サイディングの方が優れています。
しかし、近年ではシンプルでスタイリッシュな外壁を選ぶ人も増加中。
これまでとはひと味違ったデザインを好む方には、おすすめの外壁材です。
デメリット③:凹みやすい
薄さが特徴のガルバリウム鋼板は、衝撃に対する抵抗力が弱いため凹みやすいという性質を併せ持ちます。
例えば、子どもがボール遊びをする公園付近や車の出入りが激しい車庫周りでは注意が必要でしょう。
そのような場所でのガルバリウム鋼板の使用はおすすめできません。
なお、ガルバリウム鋼板には厚さが0.35mm以上あるものや波型のタイプもあります。
凹みが気になりつつ、どうしてもガルバリウム鋼板を採用したい場合は検討してみるとよいでしょう。
デメリット④:錆びることがある
錆びに強いガルバリウム鋼板ですが、錆びが発生しないわけではありません。
金属系サイディングの中では錆びの発生率が低いものの、材質が金属である以上錆びるという現象は考慮しておくべき点です。
例えば、表面についた傷から発生する赤錆や酸化が原因で起こる白錆、電食作用によるもらい錆などが挙げられます。
錆びのリスクを低減するためには、錆びが発生しやすい鉄道がある地域や沿岸部・工場地帯・森林付近を避けることがおすすめ。
また、年に数回の水洗いやメンテナンスを行うことも効果的です。
デメリット⑤:断熱性が低い
薄い金属建材がゆえに、断熱性に欠けるというデメリットがあるガルバリウム鋼板。
ただし、現在では断熱材を張り付けた「断熱材一体型」と呼ばれる製品も多く扱われています。
これにより、金属建材のデメリットである断熱性や遮音性の補強が可能に。
また、リフォーム時にカバー工法を採用する場合は、既存の屋根や外壁に断熱材が使用されているかどうかもチェックしておきたいポイントです。
すでに断熱性能を備えている建物であれば、鋼板自体の断熱性の低さをカバーできるでしょう。
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ガルバリウム鋼板の外壁事例2選
ガルバリウム鋼板を使用した外壁事例を2つご紹介します。
- 人目を気にせず楽しむ中庭と癒しをもたらす家
- 開放感ある空間と木のぬくもりを感じる家
ガルバリウムの特徴は、耐久性や防水性などの機能面だけではありません。
木材やコンクリートなど、異素材との組み合わせでおしゃれな演出を楽しめる点も魅力です。
デザイン面でどのような印象を与えるのか、具体的なポイントを見てみましょう。
事例①:人目を気にせず楽しむ中庭と癒しをもたらす家
「人目を気にせず楽しむ中庭と癒しをもたらす家」でのポイントは、次の2つです。
- 存在感ある黒のカラーリング
- 異素材や和のテイストとの組み合わせ
「外壁はガルバリウム鋼板に!」と、始めから決めていたご主人様。
外壁には、モダンな印象を与える黒を採用しました。
発色が難しいとされる濃い目の色も、幅広いカラーリングを得意とするガルバリウム鋼板なら美しく仕上げられます。
また、凹凸をつけた鋼板の形状も特徴の1つ。
角度によって影の見え方が変わるため、縦のラインが際立ちスタイリッシュな印象を与えます。
玄関部分には木目調の素材を採用、右側にはもみじが顔をのぞかせる坪庭を設置しました。
金属外壁のクールさに温かみや和の要素がプラスされ、よりガルバリウム鋼板の魅力を引き立てています。
事例②:開放感ある空間と木のぬくもりを感じる家
「開放感ある空間と木のぬくもりを感じる家」でのポイントは、次の2つです。
- デザイン性の高いキューブ型の外観
- ブラウンの外壁と木材との調和
ショコラブラウンのガルバリウム鋼板で全面を覆ったキューブ型の建物。
玄関ポーチに作られたコンクリートの壁がモダンな印象を与え、外観にほどよいアクセントを加えています。
デザイン面だけでなく、人目をさえぎったり雨を避けられるという点もメリットです。
大きな窓が目を引く南側は、玄関側とはまた違う印象に。
どちらから見ても、すっきりとまとまったデザイン性の高さが感じられるでしょう。
玄関ドアには重厚感ある本物の木を使用、ブラウンの外壁と木の色味が見事にマッチしています。
室内に入ると木のぬくもりを感じられる空間が広がっており、クールな印象をもつ外観とのギャップが魅力的です。
まとめ:ガルバリウム鋼板について
ガルバリウム鋼板は耐久性や耐震性の高さ、おしゃれな外観から屋根材や外壁材におすすめの建材です。
一方で、金属の性質により錆びてしまったり、その薄さゆえ凹みやすかったりとデメリットがあることも理解しなければなりません。
しかし、耐食効果を高めた「SGL」により錆びのリスクが軽減されたことや、凹みにくい加工を施すなどの工夫も可能です。
ご紹介した2つの事例からは、外壁にガルバリウム鋼板を使用したお施主様のこだわりが感じられたのではないでしょうか。
ぜひ本記事を参考に、ガルバリウム鋼板を使った家づくりを検討してみてください。
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施工事例からイメージに合わせた外壁を見つけてみませんか?
ガルバリウム鋼板のメリットは以下の5つです。
メリット①:耐久年数が長い
メリット②:サビに強い
メリット③:耐震性が高い
メリット④:おしゃれでデザイン性が高い
メリット⑤:外壁材がひび割れしにくい
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