公開:2022.11.04 更新:2023.05.18
地震に強い家の特徴5選!建てる際の注意点をわかりやすく解説
地震に強い家とは具体的にどのような家をさすのでしょうか?
家を建てるときに求めるポイントとしてはいろいろなものがありますが、日本特有のものとして「地震に強いかどうか」が挙げられます。
この記事では、地震に強い家の特徴を詳しく解説するとともに、地震に強い家を建てるときの注意点なども具体的に見ていきます。最後まで読むことで、耐震性に優れた家とはどのようなものかを、総合的に把握できるでしょう。
目次
地震に強い家の特徴5選
地震に強い家の特徴としては、主に以下の5つが挙げられます。
- 正方形or長方形
- 平屋
- 地盤が強い
- 耐震・制振・免震構造
- 定期的にメンテナンスされている
上記の特徴はそれぞれ独立しているので、すべての項目にぴったり当てはまっている家もあり得ます。そのような家は、少なくとも地震に対しては最高の防御力を誇っていると考えてよいでしょう。
それでは一つひとつ見ていきます。
特徴①:正方形or長方形
まず家全体の形ですが、上空から見たときに正方形あるいは長方形になっているような、シンプルな形状の家屋が地震に強いといわれています。正方形や長方形の家は、地震が起きたとき家を構成している6つの面のすべてが一体となって揺れに耐えようとするので、倒壊しにくいからです。
反対に、L字型になっている家や、2階の一部分が1階よりも飛び出している特徴的な構造の家などは、どこか一点に揺れのエネルギーが集中しやすいため、ゆがみが発生しやすく、結果的に倒壊のリスクも増大します。
キーポイントとなるのは、地震がもたらすエネルギーをいかに分散させるかです。建物を構成するすべての要素が一体となって揺れに対して踏ん張ろうとする構造が大切であり、それはすなわちシンプルな形の建物ということになります。
特徴②:平屋
2階建てや3階建ての家よりも、平屋のほうが地震の際に建物への負担が少ないといわれています。高さがない分、複層階の建物と比べて地震がもたらす揺れが少なく、同じ規模の地震が発生しても比較的ダメージを小さくできるからです。
また前項にも通じることですが、平屋の多くは正方形や長方形などのシンプルな間取りが多いので、その点からも耐震性が高めです。
また平屋は地震だけでなく、台風に強いメリットもあります。台風を乗り切る際に重要なのは風圧への対策ですが、高さが低く軽量な平屋は下から吹き上げる風力を直接受ける度合いが小さく、致命的な損害を免れやすいからです。
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特徴③:地盤が強い
家自体の工夫も大切ですが、どのような土地にその家が建っているかも大きなポイントです。地盤が強いかどうかは、地震に強い家に住みたいと思うならば欠かさずチェックするべき要素でしょう。
平成12年以降、家を建築する際には地盤調査が義務化されています。ただし具体的に家の間取りや建てる位置がある程度決まらないと調査内容も確定しないので、一般的に地盤調査は土地の購入後、建築前におこなわれます。土地の購入前に調査する場合には有料となる場合がほとんどなので注意が必要です。
地盤調査をした結果、軟弱な地盤なことが判明した場合には、地盤改良工事が必要です。たとえば以下のような工事があります。
- 表層改良工法:深さ2mほどの土を掘って固化剤と土を攪拌する
- 柱状改良工法:コンクリートの柱を注入して地盤を強くする
- 鋼管杭工法:鋼管の柱を注入して地盤を強くする
どの工事が最適かは、地盤の性質によっても変わります。また建築面積などによって費用も大きく異なるので、土地を購入する際には下調べをしておきましょう。
参考:建築基準法施行令38条、建築基準法における地盤に関する規定、国土交通省告示1113号
特徴④:耐震・制振・免震構造
耐震・制振・免震構造が施された家は、地震に強いと考えて差し支えありません。これらの技術は年月を経るにしたがって進化を続けているので、基本的には新しく建築された家に施された構造ほど地震に強いと考えてよいでしょう。
3つの構造の特徴を簡単に説明します。
耐震構造
耐震構造とは、大きな地震の揺れにも耐えられるように建物の構造を強化することです。たとえば従来の木造建築物は、柱と梁を縦横2方向に組み合わせるだけのものでしたが、柱を筋交いにつなぐ建材の使用によって、横揺れに強い構造になります。またツーバイフォー住宅と呼ばれる耐震住宅は、柱を使わない工法であり、頑丈な壁を組み合わせることによって建物全体の耐震性を高めるものです。
現在の日本で建築される戸建て住宅は、このような耐震構造になっています。
制振構造
制振構造とは、地震の揺れを吸収する装置が壁の内部などに備えられている住宅構造のことです。そのような装置をダンパーと呼びます。
揺れによって建物に生じた歪みをダンパーが吸収するため、強い地震が起きたときにも家が倒壊しないだけでなく、家を構成するさまざまな部分の損傷を最小限に抑えられます。優れた制振構造を施された家に住んでいる方は、大きな地震が起きても実際より小さな揺れしか感じません。これにより恐怖感を軽減できるのもメリットのひとつです。
制振構造は、建物にかかる負荷を軽減する意味で耐震構造より効果的であり、免震構造よりも低コストで実現できます。
免震構造
免震構造とは、建物の土台のうえに直接据え付けるのではなく、建物の底と基礎とのあいだに免震装置を挟む住宅構造のことです。
免震装置はダンパーや積層ゴムの部材であり、地震が起きた際には揺れを吸収するので、建物に揺れを伝えません。そもそも家自体が地面から断絶されているので、大きな地震でも居住者が体感する揺れはかなり少なく抑えられます。
ここで紹介した3つの構造のなかではもっとも安全なものですが、その分コストは高く、タワーマンションなどの高級集合住宅で主に採用されています。
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特徴⑤:定期的にメンテナンスされている
建物がきちんと定期的にメンテナンスされているかも、耐震性に影響します。何もしなければ築年数が古いものほど耐震性が低くなるのが自然ですが、経年劣化はメンテナンスで改善できることも多いからです。
定期的に耐震診断がおこなわれており、そのたびに必要なメンテナンスがきっちりなされている建物であれば、地震に対する強度がきちんと保たれている可能性が高いといえます。
逆に建築された際に耐震性が高い設計がなされていても、その後のメンテナンスがしっかりとおこなわれていなければ、経年劣化により災害時の被害が大きくなるリスクがあります。
地震に強い家が必要な2つの理由
なぜ地震に強い家を求める必要があるのでしょうか。ここではその理由を改めて見ていきます。
理由①:巨大地震で被害が出ている
日本は地震大国であり、頻繁に巨大地震に見舞われては大きな被害を出しています。世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が日本で発生しているといわれており、この国で暮らす限りは巨大地震のリスクと向き合わざるを得ません。
巨大地震が発生した場合、何よりも重要なのは命を守れるかどうかです。そのためには家の耐震性を高めておくことが欠かせません。地震発生時に家が倒壊してしまえば、生き残れる可能性は著しく低くなってしまうからです。
日本のどこであっても巨大地震が起きない保証はないので、建物の耐震性はしっかりと考えておく必要があります。
理由②:建築基準法(耐震基準)に適している必要がある
日本の建物は、建築基準法が求める耐震基準を満たしている必要があります。耐震基準は1950年に設けられましたが、その後いくつもの巨大地震を経て基準が強化されていきました。
現在の耐震基準は1995年の阪神淡路大震災をきっかけとして見直しが図られたもので、震度6強から7の揺れでも倒壊しない強度が求められています。この基準を満たさなければならないため、居住者が地震を意識するしないにかかわらず、これから建築される建物はすべて耐震性に優れたものでなければなりません。
阪神淡路大震災や東日本大震災の映像では、木造家屋の倒壊が数多く見られますが、これらは昔の耐震基準で建てられた家屋です。現在の耐震基準で建てられた家屋のほとんどは、全壊することなく生き残りました。このことからも、耐震基準を満たすことには大きな意味があることがわかります。
地震に強い家を建てるときの注意点5選
地震に強い家を建てるのであれば、以下の5つの点に注意する必要があります。
- ビルトインガレージ
- 大きな吹き抜け
- 後からの増改築
- 地盤の柔らかい場所
- 窓の数・大きさ
いずれも耐震性を意識せずおこなってしまうと後々リスクにつながりかねないので、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。
注意点①:ビルトインガレージ
ビルトインガレージとは、1階部分に駐車場となる空間を設けている建物のことです。車が駐車されたうえに2階の出っ張った床部分があるという構造になります。
土地を効率よく使えるため、都市部ではとくに人気がありますが、耐震性の点では要注意となります。1階の道路側に壁がほとんどないので、強い揺れが起きたときに建物全体が耐えられない可能性があるからです。
ビルトインガレージを採用する際には、ある程度のコストをかけて一般的な住宅より強度を確保できる構造設計にするか、あるいは重量鉄骨工法などを検討してみましょう。
注意点②:大きな吹き抜け
玄関やリビングが吹き抜けになっている家は、開放的で明るいため人気がありますが、地震が起きた際に家を支える柱や壁の量が少ないため、耐震性の点ではどうしても心もとなくなってしまいます。
重量鉄骨や鉄筋コンクリートの住宅でないのであれば、耐力壁を作るなどの耐震設計をしっかりと考えておく必要があります。
また吹き抜けを作ると光熱費が高くなったり、2階のスペースが減ってしまったり、などの問題もあるので、導入する際には十分な検討するべきでしょう。
注意点③:後からの増改築
年月を経た後に、増築や改築によって家の形がL字型やコの字型になってしまうと、境界の部分から建物が損壊してしまう恐れがあります。また、もともと平屋だった家に2階を増築した場合にも、耐震性は弱くなってしまいます。
もともとの住宅の部分と、新しく増築した部分の耐震強度が異なると、地震が起きたときに家屋全体のバランスが崩れてしまうのが主な原因です。対策としては、もともとの部分と増築部分の構造をしっかり確認したうえで、壁の量を増やしたり、柱で補強したり、などが挙げられます。
注意点④:地盤の柔らかい場所
家自体の耐震性がどれだけ優れていても、地盤が柔らかいと、大きな地震が起こった際に建物の重さに地盤が耐えられないことがあります。「そもそもその土地は地震に強い土地なのか」という観点で家を建てる場所を決めることが、最初の地震対策となります。
地盤調査の結果、地盤の表面強度が十分ではないと判断された場合には、固い地盤があるところまで鉄筋屋コンクリートの杭を打ち込んで強化する方法が一般的です。
古い住宅は、地盤調査が義務付けられていなかった頃に建てられた可能性があるので、引っ越しを考える際にはしっかりと耐震診断を受けておきましょう。
注意点⑤:窓の数・大きさ
窓の数が多かったり、1つ1つの窓のサイズが大きかったりする家は、見晴らしがよく太陽光もしっかり取り入れられるので、日常生活での快適さの点では優れています。
しかし窓の面積の多い建物は、必然的に壁の面積が小さくなるので、耐震性はどうしても低くなってしまいます。家屋のなかには外壁面の過半数を窓が占めるものもあり、こういった家は地震に弱いといわざるを得ません。
もちろん窓が少なすぎるのも、快適な生活から遠のいてしまうため、よい判断とはいえません。耐震性能と快適な居住空間の実現をいかにバランスよく両立させるかが大切となります。
まとめ
地震に強い家とはどのような家か、そしてどのような構造の家に注意すべきなのか解説しました。
ここ数十年の日本の歴史を振り返ってみても、数年に一度は大きな地震がどこかで起こっています。次に大きな地震が起きるのが自分の住んでいる地域の可能性は十分にあり、日本に住んでいる私たちは地震対策から逃れることはできません。いやが応にも地震と共存する必要があります。
この記事を参考にして、ぜひ少しでもリスクの低い居住空間を手に入れてください。
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地震に強い家の特徴5選
①正方形or長方形
②平屋
③地盤が強い
④耐震・制振・免震構造
⑤定期的にメンテナンスされている
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